よくあるご質問(FAQ)技術用語について
技術用語について
オープンネットワーク
回答
オープンネットワークとは、規格の内容が公開されているネットワークのことです。公開されている規格に則った機器であれば、メーカーの違いを意識することなく接続することができます。
デバイス同士がネットワークで通信するシステムを構築する場合、データの送信先や種類など細かい情報をどのように表現し、どんな順番で送るかなどをあらかじめ定義しなければなりません。通常はメーカーが定義すると同時に自社製品を対応させることで、自社製品の市場拡大を図ります。ユーザーはそのメーカーの製品を使っている限り接続が保証されますが、他社製品に魅力的なものがあっても使うことができません。選択肢が狭まることを嫌うユーザーは、そのネットワーク自体を敬遠するようになります。結果的に、そのネットワークを定義したメーカーの製品さえ選ばれなく可能性があります。
そこで定義したネットワークの通信手順を公開、いわゆるオープンプロトコルとすることで、他社でも容易に対応できるようにしたものがオープンネットワークです。ネットワークを定義したメーカーにとっては他社が競合製品を開発できてしまうリスクがありますが、そのネットワークを採用するユーザーが増えることが期待でき、市場拡大が進むというメリットがあります。
典型的なオープンネットワークが、有線LANの「IEEE 802.3」や無線LANの「IEEE 802.11」です。前者は「Ethernet」、後者は「Wi-Fi」として知られています。これらは規格が公開されているため、どのメーカーでも自由に対応製品を作ることができます。半面、規格が公開されているということは、攻撃者が内部を調べて脆弱性を見つけやすいということも意味するので、オープンネットワークではセキュリティ上のリスクへの対応も重要です。
工場などで使われる産業用ネットワークは、特にコントローラと現場の機器をつなぐフィールドネットワークでオープン対応が続いています。フィールドネットワークは生産現場にIoTを導入するうえで重要な存在であり、ユーザーにとって使い勝手の良いオープンネットワークが求められています。代表的な産業用のオープンネットワークには、「EtherNet/IP」「EtherCAT」「CC-Link IE Field」「PROFINET」などがあり、いずれもネットワークの基盤部分にEthernetを使っています。
最近ではEthernetでのリアルタイム通信を可能にする技術「TSN」(Time Sensitive Networking)が標準化されたことを受けて、適用範囲を広げたオープンネットワークも登場しています。代表的なものに、一般社団法人CC-Link協会が開発し、三菱電機などが採用を表明している「CC-Link IE TSN」などがあります。
この他にも産業用途では、機器に組み込むオープンネットワークとして「CANopen」などがあります。CANopenは、自動車用の車載ネットワーク「CAN」をベースとしたオープンネットワークです。
なお一般的に知られているオープンネットワークの定義とは別に、あらゆるPCやスマートフォンが制限なく接続可能なネットワークを、オープンネットワークと呼ぶこともあります。公衆無線LANサービスの中でもパスワードなどの制限がかかっていないWi-Fiオープンネットワークがこれにあてはまります。また、インターネットなど外部につながず組織内で完結しているクローズドネットワークの反対を意味するものとして、オープンネットワークという表現がとられることもあるようです。
※記載されている会社名、製品名、ネットワーク名称等は、それぞれ各社の商標または登録商標です。