よくあるご質問(FAQ)技術用語について
OPC UA
回答
OPC UA(OPC Unified Architecture)は、工場などで使われる産業用システムをITシステムと連携させるための規格です。FAとITの連携によるインタストリー4.0の世界で、スマート工場を構成する基盤技術の一つと位置付けられています。
工場は生産性を高めるため、工場内の機器や設備をネットワークでつないで制御することにより、生産活動の最適化を進めてきました。一方で工場の外とネットワークでつなぐことは、セキュリティの懸念からあまり進まなかったのが実情です。ネットワーク活用は工場内にとどまる形になり、工場内での活用に最適化する形で発展してきました。
IoTの登場で、工場内だけでなく経営層など管理部門ともネットワークで結び、製造業全体の最適化をはかることの重要性が認識されるようになりましたが、閉じた環境でさまざまな規格が個別に発展してきた工場内ネットワークと、共通規格のもとで発展してきたオフィスのネットワークは、そのまま通信することが困難です。そこで両者を結ぶ統一的なインタフェースとして生まれたのがOPC UAです。
OPC UAはベンダーやメーカー、OSやドメインの垣根を越えて相互運用性を実現します。もともとOPCは、マイクロソフトがアプリケーション間のデータ交換のために開発した技術を、工場のプロセス制御向けに拡張したものであり、Windows PCと制御機器を結ぶ通信プロトコル「OPCクラシック(OPC Classic)」として開発されました。OPCクラシックには通信インタフェースのOPC DAなどが含まれます。その発展型として、Windowsに限らないオープンな通信プロトコルとして作られたのがOPC UAです。OPC Foundationによって規格の管理が行われています。
OPC UAはIEC62541として国際標準規格にも位置付けられています。またドイツ情報セキュリティ庁(BSI)はOPC UAについて、スマート工場に必要なセキュリティが実現できていると指摘しています。毎年春にドイツで行われる産業システムの展示会「ハノーバーメッセ」でも、OPC UAに則ったソリューションが数多く展示されています。
OPC UAの特徴の一つは、ネットワークのトランスポート層とアプリケーション層を切り分けたことです。一般的なネットワークはOSI基本参照モデルに基づき、通信の機能を役割ごとに複数のレイヤに切り分けており、それにより各レイヤが個別に発展する仕組みができています。しかしトランスポート層とアプリケーション層が一体だと、片方だけ置き換えるということができなくなり、発展が進まなくなる恐れがあります。アプリケーション層のプロトコルとして規定されているOPC UAは、その制約からユーザを解放します。インダストリー4.0で必要な標準化を分類して図式化したRAMI(Reference Architecture Model Industrie)4.0では、OPC UAはアプリケーション層の標準として位置付けられており、トランスポート層のプロトコルを選ばないことが示されています。
OPC UAを活用することで、工場内だけでやり取りしていたデータを、管理部門でも活用することが容易になりました。生産現場のPLCの制御情報をもとに、MESによる製造実行やSCADAによる見える化を実現するだけでなく、ERPと連携させて経営層の意思決定を支援するなど、ものづくりの高度な管理が進み始めています。
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